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ヘルスコミュニケーションウィーク2025 東京・本郷
Health Communication Week 2025 in Hongo , Tokyo

総大会長 木内貴弘
東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野

日本ヘルスコミュニケーション学会がヘルスコミュニケーション学関連学会機構に改組されて、日本ヘルスコミュニケーション学会学術集会がヘルスコミュニケーションウィークという形態の合同学術集会として実施されるようになってから、早いもので既に5年の月日が過ぎました。ヘルスコミュニケーションウィーク2021広島では分科会は3つでしたが、同2022名古屋、同2023福島では7つ、同2024 in Yokoyama以降は、9つに増えています。この間、参加者数・一般演題数は順調に増加し、同2024 in Yokohamaでは、参加者数約380名、一般演題約90件に達しています。今回の大会でも、より多くの方々に参加いただき、多くの演題を発表をいただけるように鋭意準備を進めております。

今回は、ヘルスコミュニケーションウィーク全体のテーマを設定せず、基調講演のテーマを設定することでこれに代えることにしました。基調講演のテーマは、「相手の身になれるか」です。岩手医科大学教養教育センターの香川由美先生にご講演をいただきます。私たちは相手の身になれるでしょうか?これに対しては、「自分はそうしている」、「なかなか難しい、大変だ」、「努力すればできる」等の答えが想定されます。人は自分の見方・考え方や立場をもとにものごとを考えがちです。そして、他の人が自分と同様に考えたり、行動しないことをネガティブに評価しがちです。相手の身になれているつもりで実は自分の思い込みを知らないうちに押し付けている場合もあるかもしれません。そもそも自分とは異なる相手の身に本当になれるのかという根本的な問題もあります。相手の身になれるのは、結局のところ、程度の問題かもしれません。相手の身になれるかは、最終的な解決のない哲学的な問いなのかもしれません。だとすると、問題の解決を目指すというよりは、ただ考え続けていくしかないのかもしれません。

今回ヘルスコミュニケーションウィークでの発表や議論にあたって(そして、もっと一般的なヘルスコミュニケーションの研究・教育、実践にあたって)、相手の身になれているかというを視点を持つことは非常に重要だと考えます。相手の行動変容を期待する場合には特にそうでしょう。相手の身になれるかという課題に対応して、社会学においては、他者の行動を理解するために「他者の合理性」という概念があります。またマーケティングでは、顧客の立場からみた「顧客満足度」が重視されてきました。今回の基調講演とヘルスコミュニケーションウィークを、相手の身になれるかについて考え始めるきっかけとしていただければと思います。

第5回 日本ヘルスリテラシー学会学術集会

大会長 杉森 裕樹
大東文化大学

ヘルスリテラシーをめぐる環境は、近年、急速なICTおよびAI技術の進展により大きく変容しています。個人が健康関連情報へアクセスする機会は飛躍的に増加した一方で、その情報の信頼性・妥当性を批判的に評価し、日常の健康行動に適切に活用する能力―すなわち「デジタルヘルスリテラシー」の涵養が、社会的・学術的に喫緊の課題として浮上しています。

本学術大会では、「デジタルヘルスリテラシー:情報格差を超えて誰もが健康に生きる社会へ」をメインテーマに据え、デジタル情報の取得・理解・評価・活用に関する理論的枠組みから、現場での実践や政策的課題までを俯瞰的かつ学際的に検討する機会といたしました。

とりわけ、高齢者、子ども、障がいのある方、外国人住民、情報機器へのアクセスや操作が困難な人々など、デジタル化の恩恵を受けにくい層―いわゆる「デジタル・バルネラブル・グループ(デジタル環境における社会的弱者)」への支援と配慮は、本テーマを考えるうえで極めて重要な視点です。

昨年度に取り上げた「ナッジ」や行動経済学的アプローチも、デジタル環境における行動変容支援の観点から再評価されつつあります。本大会では、各分野の第一線で活躍する研究者・実践者をお迎えし、理論と実装の両面から、多様な知見を共有していただきます。

本学術大会が、デジタル時代におけるヘルスリテラシーの発展に寄与し、すべての人の健康と福祉の向上に資することを願ってやみません。多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

第5回 日本ヘルスリテラシー学会学術集会 シンポジウム

第5回 日本メディカルコミュニケーション学会学術集会

大会長 岡田 浩
和歌山県立医科大学薬学部社会・薬局薬学研究室 教授

このたび、「医療者間コミュニケーションの進化:対話がつなぐ信頼とチーム医療」というテーマのもと、日本メディカルコミュニケーション学会にて分科会を開催する運びとなりました。分科会の大会長として、ご挨拶申し上げます。

近年、医療現場は高度化・多様化し、ひとりの医療者がすべてを担うことは困難になっています。その中で、チーム医療の基盤を支えるのは、医療者同士の「対話」と「信頼」に他なりません。今回の分科会では、異なるバックグラウンドを持つ三名の演者が、それぞれの視点から医療者間コミュニケーションの在り方を考察します。

報道機関で長く医療情報を発信され、現在は大学で医療報道についての研究と教育を担う市川衛先生からは、「医療の言葉を翻訳する」というテーマで、医療と社会をつなぐメディアの役割についてお話しいただきます。がん診療の最前線に立つ医師・渡邊清高先生からは、多職種との意思決定支援の実際と対話の力について、薬局薬剤師から大学教員へと立場を変えた私からは、地域薬局における医療連携についてお伝えします。

本分科会が、専門職種の壁を越えたコミュニケーションのあり方を再考し、現場で活かせる「共創の対話」への第一歩となれば幸いです。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

第5回 日本メディカルコミュニケーション学会学術集会 シンポジウム

第4回 日本医療通訳学会学術集会

大会長 大野 直子
順天堂大学国際教養学部

このたび、日本医療通訳学会として第4回目となる学術集会を開催できますことを、大変嬉しく思います。

2022年の第1回学術集会では、医療通訳の現状と今後のあり方を主題に、社会における医療通訳の認知向上を図る機会となりました。2023年の第2回では、医療通訳技能評価に焦点を当て、医療通訳カリキュラム基準と現場で求められる力について議論を深めました。2024年の第3回では、医療通訳者の養成に注目し、多様な教育機関で行われるトレーニングや、地域の実情に応じた育成の課題が共有されました。

そして、第4回目となる本年は、「医療通訳におけるヘルスコミュニケーション」をテーマに掲げました。日本語が十分に話せない患者さんと医療者をつなぐ医療通訳者は、単なる言語の橋渡しにとどまらず、患者の生活背景や文化的価値観をふまえて、保健・医療・福祉をつなぐヘルスコミュニケーターとしての重要な役割を果たしています。こうしたヘルスコミュニケーションの現場では、通訳技術や医療知識だけでなく、異文化理解や柔軟な対応力が必要不可欠です。

今回のシンポジウムでは、医療者、教育機関、通訳派遣機関、そして医療通訳実務家それぞれのご立場から、医療通訳者に求められるコミュニケーションについてご発表いただく予定です。多様な視点からのご意見を踏まえながら、会場の皆様と共に、医療通訳におけるヘルスコミュニケーションについて活発な議論を行えることを、心より楽しみにしております。

第4回 日本医療通訳学会学術集会 シンポジウム

第4回 日本ヘルスマーケティング学会学術集会

大会長 的場 匡亮
昭和医科大学 保健医療学研究科

ヘルスマーケティングは、人々の健康行動や意識を変容させ、社会全体のwell-beingを向上させるための重要なアプローチです。本シンポジウムでは、「ヘルスコミュニケーションを支える資金調達戦略」をテーマに、ヘルスケア領域で持続可能な活動を実現するための資金確保と、その戦略について議論します。健康医療分野でのコミュニケーションは、単に情報を伝えるだけでなく、人々の行動を変え、共感を生み、社会全体の利益を創出することを目指しています。しかし、こうした活動を維持し、発展させるには、適切な資金調達が不可欠です。クラウドファンディング、デジタルプラットフォーム、官民連携といった多様な手法を用いることで、どのようにして資金提供者の行動変容を促し、支援を得ることができるのか。その実践者および研究者を招き、各分野での取り組みを共有いただきます。

資金調達は単なる資金集めではなく、関与するステークホルダーとの協働によって社会的インパクトを生み出すプロセスでもあります。今回のシンポジウムが、ヘルスマーケティングの実践者、研究者、関係者にとって、持続可能な活動を支える一助となることを願っています。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

第4回 日本ヘルスマーケティング学会学術集会 シンポジウム

第4回 日本医学サイエンスコミュニケーション学会学術集会

大会長 木内 貴弘
東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野

科学と技術は近代以前には別のものと考えられていました。科学は真理の探究であり、技術は経験から得られた何かの役に立つ方策や知識です。現在では、科学が技術を生み出すとともに、逆に技術が科学を生み出すという、科学と技術が一体化した科学技術の時代となっています。例えば、遺伝子DNAの解明という科学の成果が、DNAシークエンシングという技術をもたらし、DNAシークエンシングという技術が生物学という科学の多くの分野の発展に貢献しています。

科学技術は驚くべきスピードで発展を遂げています。科学技術の有益性は社会に認められるようになっており、大学等の研究機関における科学技術研究のために巨額の公的研究費が支出されるようになっています。医学でも、バイオ医薬品を含む医薬品や医療機器の開発に多大な公的研究費が使用され、大きな成果が得られています。例えば、私が研修医のころはがん患者のほとんどは助かりませんでしたが、今ではその約6割が治るとされています。こうした状況において、かつての現代の科学は、かつての科学と科学者の専門性や自律性だけではなく、社会との関係やコミュニケーションを考えていかなければならなくなっています。

現代社会において、科学技術と社会との関係を研究する学問分野が科学技術社会論です。第4回日本医学サイエンスコミュニケーション学会学術集会シンポジウムでは、科学技術社会論を専門とされている2名の先生をお招きして、科学技術社会論の歴史と現在地について検討するととともに、科学技術社会論と医学サイエンスコミュニケーションについて一緒に考えていきたいと思います。是非、多くの方々の参加をお待ちしています。

第4回 日本医学サイエンスコミュニケーション学会学術集会 シンポジウム

第4回 日本医療コミュニケーション学会学術集会

大会長 野呂 幾久子
東京慈恵会医科大学

第4回日本医療コミュニケーション学会学術集会シンポジウムでは、性的マイノリティ(LGBTQ)をめぐる医療コミュニケーションの問題を取り上げます。

性的マイノリティの人々の中には、メンタルヘルスの問題を抱えていたり、医療アクセスへの障壁などにより健康格差にさらされる人が多いことが報告されており、性的マイノリティであることは健康の社会的決定要因(social determinants of health:SDH)の一つと言われています。

性に関わる問題は極めて個人的なこととして、これまでほとんど公の場で論じられてきませんでした。このため、性的マイノリティの健康リスクの問題は見過ごされがちでした。しかし、健康リスクの中には医療コミュニケーションに起因するものもあります。例えば、医療者が患者やパートナーのセクシャリティを決めつけた表現を使うことは、悪意がなかったとしても、当事者には性的マイノリティに対する偏見の可能性を感じさせ、不信感や受診控えにつながることがあります。そこには、医療者を含む社会全体の、この問題に関する知識や経験の不足が存在します。

そこで、医療コミュニケーションに関心を持つ私たちができることとして、まず実際にどのような問題が起こっているのかを知ることが重要だと考えました。性的マイノリティに意識を向けたコミュニケーションは、性的マイノリティだけでなく、医療の場での多様性への配慮につながることが期待されます。

シンポジウムでは、3名の方から話題提供をしていただき、参加者のみなさまと一緒にディスカッションをしたいと思います。多くの方のご参加をお待ちしています。

第4回 日本医療コミュニケーション学会学術集会 シンポジウム

第2回 日本歯科コミュニケーション学会学術集会

大会長 河口 浩之
広島大学病院 口腔総合診療科 教授

第1回日本歯科コミュニケーション学会学術集会に引き続き、第2回も大会長を務めさせていただきます河口です。

昨年の第1回学術集会では、「歯科におけるコミュニケーション教育の取り組み」とテーマに掲げ、“他職種や患者に対して、立場の違いを超えて「対等」なコミュニケーションを図る”という教育、指導、そして実践の重要性について議論が深まりました。

この成果を受け、今回のシンポジウムでは「歯科医療現場でのコミュニケーション術」をテーマに設定しました。歯科医療の現場において、専門的な内容をいかにわかりやすく、効果的に伝え、理解・共有してもらうか、その実践について、3名のシンポジストの先生方に具体的なお話をいただきます。

杉岡英明先生(ほほえみ歯科クリニック、広島)は地域歯科臨床現場の視点から、塚本千草先生(DHマネジメント協会)は歯科衛生士が勤務する歯科医院内の教育やマネジメントのご経験を踏まえたご講演をお願いしております。また、大戸敬之先生(鹿児島大学病院)には、理論的・学術的な観点を交えたご講演をお願いしております。

各講演をもとに、参加者の皆様と活発な議論を交わす場となることを願っております。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

第2回 日本歯科コミュニケーション学会学術集会 シンポジウム

第2回 日本看護コミュニケーション学会学術集会

大会長 藤崎 和彦
岐阜大学医学教育開発研究センター名誉教授

文部科学省の示す令和6年度版看護学教育モデルコアカリキュラムの中で掲げられたアウトカム「看護系人材として求められる基本的な資質・能力」においても、全国保健師教育機関協議会が示す2017年版公衆衛生看護学教育モデルコアカリキュラムの中で掲げられたアウトカム「保健師として求められる基本的な資質・能力」でも、全国助産師教育協議会が示す2020年版望ましい助産師教育におけるコア・カリキュラムの中で掲げられたアウトカム「助産師として求められる基本的な資質・能力」でも「コミュニケーション能力」は看護系人材が持つべき主要アウトカムの1つとしてカウントされており、看護系教育においてコミュニケーション能力の養成が必須との位置づけにある。

看護実践の上で、まず「コミュニケーション能力が十分でないと看護過程が展開できない」ということがあり、看護過程の出発点にあたる情報収集で患者の抱える真の看護問題の部分にアクセスすることが出来なければ、本当に患者の利益になるような看護実践を目指しての看護過程を展開ができず、さらに「看護介入においても心理社会的な看護問題のアセスメント・介入にもコミュニケーション能力が不可欠である」ということがある。

コミュニケーション能力とはある種の「身体化された技能」で、いくら頭で理解していても、いざ必要な時に自然とふさわしい声かけがタイミングよく口から出てこないと意味がないという側面がある。それは、野球やテニスで、相手の球に合わせて自然に身体の重心を移動させ、適切なスウィングで打ち返せるようになるには、日々のランニングや素振りの練習が必要なのと同じで、十分な基礎練習ができていない限りは、実際の現場で適切に患者とコミュニケーションできるようにならないのと同じである。そういった意味からコミュニケーション教育も、「患者の立場に立て」「患者のことを思いやれ」といった心がまえ論教育から、21世紀に至ってからは少なくとも共用試験OSCEが導入されている医学部や歯学部、薬学部での卒前教育では実際のパフォーマンスを重視した模擬患者参加型の具体的な技能教育へと変化してきている。

そういった意味での卒前・卒後の看護教育におけるコミュニケーション技能の教育ラダーについて、本シンポジウムでは検討をしていきたいと思う。

第2回 日本看護コミュニケーション学会学術集会 シンポジウム

大会ポスター

会場アクセス

東京大学本郷キャンパス医学部教育研究棟・1号館

お問い合わせ

HCW2025 in Tokyo 事務局
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 管理研究棟4階 医療コミュニケーション学分野
Email: hcw2025(at)umin.ac.jp
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