渡邊義和
米国では、過去70年ほどの間にLGBTQに関する市民権が徐々に認められ、2015年には連邦レベルで同性婚が認められた。 しかし、LGBTQに対する偏見はあらゆる場面でも見られ、患者として自分の疾病以外に、セクシュアリティについても不安な気持ちを抱きながら医療サービスを受ける現状が見られる。 ここでは、ロサンゼルスに住むLGBTQ当事者として米国の医療コンテキストにおける体験を語る。
武田裕子1)
1) 順天堂大学大学院 医学研究科
健康格差に影響する社会的要因を、Social Determinants of Health (SDH)という。日本社会において、多様性の尊重が重視され、LGBTQ+という言葉も広く認識されるようになった。
一方、同性婚が法的に認められていなかったり包括的差別禁止法がなかったりなど制度的な問題に加え、社会からの見えにくい排除や教育が十分でないことから知識・理解不足が偏見や不適切な対応は未だに存在する。
その結果、LGBTQ+ユースでは自殺念慮や自殺企図が同年代の3~4倍と深刻なメンタルの問題を生じたり、LGBTQ+当事者における診療回避による診断や治療の遅れにつながったりしている。
本稿では、順天堂医院のSOGI(性的指向・性自認)をめぐる取り組みを紹介し、医療者ができることを具体的に伝える。
また、スティグマや差別、制度から生じる社会的排除など、健康格差の背景にある社会的・構造的要因(SDH)の可視化が必要であることを論じる。
トラウマ・インフォームドケアや反抑圧実践といったアプローチが求められると同時に、このような取り組みの推進には当事者との共同創造が不可欠である。
Copyright © Japanese Association of Healthcare Communication