杉本なおみ1)4)5) 、會田信子2)5) 、藤崎和彦3)6)7)8)
1)慶應義塾大学 看護医療学部
2)信州大学 学術研究院 医学保健学域保健学系
3)岐阜大学 名誉教授
4)ヘルスコミュニケーション学関連学会機構 理事
5)日本看護コミュニケーション学会 運営委員
6)第2回日本看護コミュニケーション学会学術集会 大会長
7)日本看護コミュニケーション学会 副学会長
8)日本看護コミュニケーション学会 副運営委員長
武冨貴久子
札幌市立大学
看護学生がどのようにコミュニケーションを学び、学生のコミュニケーション能力をどのように評価し、そしてその力をさらに伸ばすために、どのような支援が可能かを検討するため、 看護基礎教育課程における学年進行に応じたコミュニケーション能力習得の特性を整理した。 講義・演習・臨地実習および学年末 OSCE の教育内容を分析した結果、コミュニケーション能力は基礎的対人スキルから応用的・文脈依存的スキルへと段階的に発達する多次元的構造を示した。 1 年次では自己表現や傾聴など基礎的スキルをロールプレイ等で学び、2~3 年次では患者の個別性への対応や医療者間連携に伴う課題が顕在化した。 4 年次では多職種連携や複雑状況下の判断など高度な能力統合が求められた。 OSCE では挨拶・自己紹介・説明と同意取得・傾聴・アセスメント等が評価され、実践的行動の可視化に有効であった。 一方、能力発揮には自己効力感や対人経験、実習環境など個人差が影響していた。 以上より、段階的学習設計、形成的評価の活用、学習者特性に応じた支援、能力可視化の枠組み整備の重要性が示唆された。
阿部恵子
金城学院大学 看護学部看護学科
近年、医療の多様化・複雑化に伴い、看護の基盤となるコミュニケーション能力はかつてないほど重要な技術となっている。
患者の身体的・心理的・社会的側面を切り離さず、相互に作用させる全人的医療の実践が強く求められており、異なる世代においても、患者および家族を尊重し、病と共に生きる状況を理解する姿勢は不可欠である。
対象者との相互作用はすべてコミュニケーションを通して行われ、看護実践はその能力に大きく影響を受ける。
一方、近年の学生は、希薄な人間関係や生活体験の不足に加え、コロナ禍による非対面型コミュニケーション中心の学生生活を経験してきたという特徴をもつ。
このような背景を踏まえると、看護学生のレディネスに応じて段階的にコミュニケーション能力を獲得させる教育の必要性が高い。
厚生労働省の看護基礎教育検討報告書(2019)では、模擬患者(Simulated Patient: SP)やシミュレーターの活用など、体験型演習の拡充が推奨されている。
コミュニケーションにおける相互作用を学ぶためには経験学習が有効であり、適度な緊張感のもとで SP との相互作用を経験する演習は、患者理解を深める上で効果的である。
さらに、SP によるフィードバックは、自身が相手に与える影響への気づきを促す点で教育意義が大きい。
本稿では、看護学部 4 年間を通した段階的コミュニケーション教育プログラムを構築し、主観的評価および客観的評価(Objective Structured Clinical Examination: OSCE) によりコミュニケーション能力を評価することを試みた。
コミュニケーションの理論を踏まえつつ、SP を活用したコミュニケーション教育の効果と課題を検討することを目的とする。
寺田八重子
名古屋大学医学部附属病院 看護部
新人看護師は、看護業務を行うことに目が向き、患者の反応を確認しないままコミュニケーションをとってしまうことがある。 また、情報収集やリスク回避のために伝える言葉が、患者にとって信頼関係がない状態では受け入れがたくなる場合がある。 コミュニケーションの価値は受け手である患者が決定するものであるため、コミュニケーションの技術的なスキルだけでなく、信頼関係を基盤に据えることが重要である。 さらに COVID-19 の感染拡大によるコミュニケーションの取り方の変化や Z 世代の新人看護師の特徴である対面でのコミュニケーションの苦手意識など、コミュニケーションを取り巻く環境は変わってきた。 しかし、組織の理念をもとに看護を提供するためには、このコミュニケーションのスキルを身につけ関わることが全ての基礎となるため、コミュニケーション研修のあり方を変更し取り組むことになった。 知識を学び、実践し、振り返り、課題を明確にするというサイクルを繰り返すことで、患者と信頼関係を築くことの重要性に気づくことができるようになった。
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